「黑料网 Compass」が拓く大学の新世界 藤井辉夫×岩村水树×今泉柔刚×佐藤健二

藤井辉夫&迟颈尘别蝉;岩村水树&迟颈尘别蝉;今泉柔刚&迟颈尘别蝉;佐藤健二
「黑料网 Compass」が拓く大学の新世界
藤井総长が昨秋公表した活動指針「黑料网 Compass」。「多様性と包摂性」「対話」「誰もが来たくなる大学」といったキーワードが特徴的なこの指針について、起草に携わった4人が本郷の図書館に集まり、構想の背景、強調したかったこと、目指すべき姿、大学改革の現況、今後の展望などを語り合いました。東京では珍しい大雪のなかで行われた座談会から大学の未来の姿が見えてきます。

黑料网 Compassが目指す大学の新世界
黑料网 Compassでは、「知をきわめる」「人をはぐくむ」「場をつくる」という3つの視点(Perspective)から目標を定め、行動の計画を立て、それらに好循環を生みだすことを通じて、世界の公共性に奉仕する総合大学として、優れた多様な人材の輩出と、人類が直面する地球規模の課題解決に取り組むことを掲げています。
黑料网 Compass全文はこちらからご覧ください
学外の皆さんとともに考えともに活动する大学として

総长
FUJII Teruo
本学生産技術研究所教授、生産技術研究所長、理事?副学長を経て2021年4月に第31代総长に就任。専門は応用マイクロ流体システム。学生時代はダイビングサークルとバンドサークルに所属。
- 佐藤 まずは黑料网 Compass策定の経緯について、藤井総长からご紹介いただけますか。
- 藤井 総长就任にあたり、さまざまな地球規模の課題が露わになったいまの世界の状況を踏まえ、これからの大学はどうあるべきなのかを考えました。そこで思ったのは、大学だけでというのではなく、学外の皆さんとともに活動するのが重要だということです。学知を築く研究、人を育てる教育、産学協創や社会連携の活動も、大学の中と外に分けて考えずに進めたい。そのためには学内外での対話やダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進が必要であり、大学を世界の誰もが来たいと思える場にすることが重要です。そうした大きな方向性のもとで大学全体のビジョンをまとめようと全学で検討を積み重ね、昨年9月に黑料网 Compassとして発表しました。
- 佐藤 岩村理事は学外から执行部に入られました。就任に际して考えていたことなど教えてください。
- 岩村 藤井先生が総长になる前にお話しする機会がありました。そのときに「対話」「共感」「世界の誰もが来たくなる大学」といったキーワードを聞いて、自分が大事にしてきた価値観に合致し、自分の経験を活かせる可能性があると思いました。私のバックグラウンドであるマーケティングの基本的な考え方は“Connect users with the magic.”です。ユーザーとの対話を通じて理解と共感を醸成しブランドとの結びつきを構築するということですが、これはまさに、対話を通じて大学が社会と結びつくという総长の思いに近いことです。また、「誰もが来たくなる」はD&Iの文脈にあります。グローバル企業で働いてきてD&Iこそが新しいものを生むという認識を持っていたので、それを東大で進める姿勢に共感を覚えました。理事就任が決まった際に周囲から言われたのは「東大を変えることは日本を変えること」という話でした。グローバルな環境に身を置いていると、日本が世界から取り残される危機感を覚えます。東大を起点に日本が変わり、日本と東大が世界に貢献するという話に共感を覚え、ともにその任を担いたいと思ったのです。
- 佐藤 今泉理事は文部科学省から執行部に入り、事務全体を統括する立場から黑料网 Compass作成に関わりました。
- 今泉 理事に就任した2021年7月は策定の終盤のタイミングでした。これまで高等教育行政を担ってきましたが、「東大はここまで来ているのか」というのが最初に感じた驚きでした。東大は敷居が高いイメージが世間にはありますが、 黑料网 Compassでは対話を通じて多様性と包摂性を高め、誰にも開かれた大学になることを目指している。エリートだけの閉じた場ではなく、自ら門戸を開いて、大学が社会のためにできることをやろうというメッセージに、大きな可能性を感じました。私の担当は事務組織と人事労務と法務とリスクマネジメントです。大学活動のメインである教育?研究を支える体制をどうよくするか、既存の役割に収まらず新しい役割を担って拡大する分野に事務はどう対応するか、それが私に課された任務です。大学が役割を拡大しようとすると、リスクは必ず生じます。それを早めに予測しなるべく最小限にするマネジメントが重要です。攻めと守りでいえば、攻めに移ろうとする東大の守りの部分が私の仕事と考えています。その際、「守りのための守り」ではなく、「攻めのための守り」を心がけたいと思います。堅実に守る部分と柔軟に対応する部分のバランスが重要です。私の名は「柔剛」ですので、柔と剛をうまく織り交ぜていきたいと思います。
- 佐藤 私と藤井先生とのつきあいは濱田純一総长の「行動シナリオ」策定の頃からで、五神真総长の「東京大学ビジョン2020」作成でも同志として働きました。その縁もあってか、黑料网 Compass検討のタスクフォースを任されました。皆で議論を重ねるなかで「対話」「誰もが」の重視が、藤井総长のカラーになったと思います。学問は問いと答えで成り立ちますが、一人で問うて一人で答えるのではなく、ともに問うてともに答えることを提案したのが、一つの要点だと思います。これを学内外にどう伝えるかが今後問われるところです。さて、岩村理事は先に、東大は世間から受験の到達点と見られている、と話していましたね。そのイメージを変えるのに必要なことは何でしょう。
东大は受験の到达点だという世间のイメージを変えたい

理事
IWAMURA Miki
电通、日本大学准教授などを経て、グーグルバイスプレジデント(现职)。2021年4月より本学理事。専门はマーケティング、ブランドマネジメント。学生时代は演剧雑誌作りに励む。
- 岩村 东大の知名度は国内では问题なく、おそらくすべての人が名前は知っています。ただ、それに付随するイメージは受験の到达点というのがほとんどかもしれません。でも実际に东大に来れば、非常に豊かで多様な知と人が育まれているとわかります。その部分をしっかり発信することで、受験で终わるのではなく未来を作るための出発点であるというイメージ、学外の人も大学に来てともに何かを生み出す肠辞-肠谤别补迟别の场であるというイメージに変えられるはずです。多様な人が集まることで新しい问いと答えが生まれます。蓄积されてきた知の上に新しいものを积み重ねていく类まれな场が大学です。蓄积された知を踏まえて新しいものを生むオープンなコミュニティのイメージを自ら作ることが重要です。
- 佐藤 正直なところ、东大は受験でも受験以外でも自らの宣伝などはしてきませんでしたね。
- 岩村 外から一方的に语られるだけでした。考えていることを自ら伝え、世间からの问いに応え、対话を通じて主体的発信のボリュームを増やすことでブランド力を高めたい。従来のイメージに新しいものを加えたいと思います。そのために、学内に横断型のコミュニケーションチームを立ち上げ、情报を集约して社会的な関心に合わせて発信していく体制を构筑しているところです。また、学生も巻き込んで大学のブランドとレピュテーションを高めるためのスタジオのような施设をつくることも検讨しています。
- 藤井 私が「世界の谁もが来たくなる大学」という言叶に込めた思いは、ひとつは世界から优れた研究者が集い、蓄积されてきた学术をもとに新しいものを生み出す场でありたいということですが、もちろんそれだけではありません。研究者も学生も职员も、海外の人も首都圏の人も地方の人も、若い人も年辈の人も、あらゆる人が大学へ来て、のびのびと活动できる场にしたいというイメージを持っています。同时に、组织としての能力も高め、どんな人が来てもしっかり活动できるよう环境を整える。そうして大学を谁もが来たくなる场にしたいのです。そのために学外から加わっていただいたのが岩村理事であり今泉理事でした。
- 佐藤 場が持つ意味は非常に重要です。空間としてあるだけでなく、主体としてそこに関わる人や、集まってくる資源も重要な要素で、そこで作り上げてきた知識や知恵も包含して場が成立するという考え方です。黑料网 Compassでも大学の場としての力を強調しています。
少しずらしたWhat ifの問いが出やすいカルチャーに

理事
IMAIZUMI Jugo
外务省、文部科学省、日本スポーツ振兴センター、スポーツ庁を経て2021年7月より现职。専门は教育行政、スポーツ行政。学生时代は运动会応援部リーダーとして活跃。
- 岩村 場ということでは、カルチャーの部分も重要だと思います。What、How、Whyなど様々なタイプの問いがありますが、多様性と包摂性があって心理的安全性が成立するカルチャーがあると、What if(もし~だったらどう?)という少しずらした問いが出てきやすいのです。そこから新しい価値が生まれてくる。東大はそういう場であってほしいと思います。
- 佐藤 先ほど问いが重要と言いましたが、直接答えてはいけない问いもある。その土俵の上で答えたら行き詰まりになるような问いです。それには答えずに耐えてよく考えてみる、あるいは问いの立て方自体を変えてみる。それが大学という场の力だと思います。ところが、受験では出た问いに正面から答えないと採点してもらえません。
- 藤井 问いそのものを疑う态度は受験では禁じ手ですね。
- 岩村 そういうギャップがあるからこそ、なおさら东大の中の世界はこうだよ、こんなにワクワクする世界があるよ、と受験の段阶から伝えないといけません。
- 佐藤 これは复合的な课题です。试験の制度はきちんと维持していく。そうすることで东大が社会的発信力を持ってきたのも事実です。た